第16章 その気持ちが
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すでに冷え切ってしまったミルクティーの缶を上着のポケットへとしまい込む。
赤く染まった指先にハァーっと息を吹きかければ、空中に白いモヤがふわりと揺れた。
どれくらい待っているだろうか。
結局あの後、お祝いをせず傑先輩の誕生日の飾りを片付ける気にはなれなくて…どうしてもお祝いしたくてそのまま食堂を飛び出して来た。
部屋に戻りダウンを着て、自販機でホットミルクティーを買ってから寮の入り口で傑先輩を待つ。
だけどもうとっくに2月3日は過ぎてしまった…
0時45分…
「傑先輩…まだかなぁ」
また後日改めてお祝いをしようってなったけれど、でも今日だってやっと四人集まっただけなのに、きっと改めてするお祝いの場はプレゼントを渡すだけになってしまうだろう。パーティーは出来ないと思う…皆忙しいから。
そう思うと、やっぱり傑先輩にサプライズをしようとしていたことを知って欲しかった。皆傑先輩を慕っているんだよって、傑先輩が先輩で良かったって、あの空間にはそんな意味が込められているから。
そして何より…サプライズパーティーをするつもりでいたから、傑先輩へまだ誕生日おめでとうを言えていない。
0時になる前にメッセージで送ろうかともすごく迷ったし、まぁ時間は過ぎてしまったんだけれど…それでもどうしても直接会って言いたかった。
誕生日おめでとうって、言いたかった。