第15章 浮遊感
「耳真っ赤だけど」
「余計に恥ずかしくなった…」
背後からは五条先輩のクスクスと笑う声が聞こえて来る。そして自身の背中に感じる彼の体温にすでにのぼせて頭が沸騰してしまいそうだ。
何これ何これ何これ!!
こんなのまるで恋人みたいじゃん。無理なんだけど、無理、嬉し過ぎて恥ずかし過ぎてどうにかなっちゃう。
カーッと染まっていく私の顔面を、先輩からは見られないことがせめてもの救いだが、真っ赤に染まった耳のせいでそんなこと何の意味もないんだろうなと思う。
「あー、こんなゆっくり出来んの久々だわ」
私の腹部へと五条先輩の腕がするりと回ってくると、ガチガチになって身体に力を入れていた体型が後ろへと引き寄せられ先輩の上へと軽く寄りかかるような体制になる。
最初はそれにもかなり緊張していて仕方なかったのだが、しばらくした頃にはそれも慣れてきて先輩の身体へと重みを預けて寄りかかった。
「五条先輩いっつも忙しいもんね」
「最強はお前らと違って大変なんだよ」
「本当にね、いつもお疲れ様です」
真っ直ぐと目の前の景色を眺めながらそう声をかければ、私の腹部へと手を置いていた先輩の腕にぎゅっと力がこもった。