第15章 浮遊感
そんなことを悶々と考えている私を無視し、先輩は「その部屋で良いです」と受付のお姉さんへ告げ早々と鍵をもらってしまった。
案内された先の部屋はとても広く綺麗で、仕事で来た学生がこんな場所に泊まって良いのかと思ったけれど、手違いで全く別物の部屋に泊まることになったのだから仕方ない。
「うわぁー!先輩!客室露天風呂あるよ!」
さすが人気な旅館なだけある。田舎の辺境の地だというのにも関わらずとても今どき感のある旅館だ。オシャレだ。
「マジか、本当だ。ラッキーじゃん」
「秘湯って言ってたしね!どこに効くんだろ?疲労回復とか?怪我とか?」
「老人が集まるくらいだし、関節痛とかじゃねーの?」
「確かにそうかも。五条先輩関節痛なんて絶対無いでしょ」
「そもそも痛みとは無縁だし」
先ほどまでは任務に来たにも関わらず、こうして五条先輩と二人で同じ部屋なんて泊まって良いの!?なんて思っていたけれど…
今の私は完全に浮かれている。だってこんなの、まるで五条先輩と旅行に来たみたいじゃなか。
浮かれるなって言う方が無理な話しだ。
こんなの浮かれちゃうよ、浮かれまくっちゃうでしょ。