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【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第14章 堕ちてやる






「五条先輩、私一瞬幻術の世界に飲み込まれそうになった」




私の前を歩く五条先輩に向かって声を出せば、その脚がピタリと止まりこちらへとゆっくり振り向く。





「このままが良いって、この世界にこのままいたいって…そう思ったの。一瞬でもそう思っちゃった」




「それがあっちの狙いだからな、そう思わせるのがあの呪霊の呪いだろ」




「でも、さ…そんなこと思っちゃいけなかったんだよ…一瞬でもそんなこと思っちゃいけなかった」




小さく呟き、酷く歪めた顔で先輩を見上げれば、こちらを振り向いていた五条先輩は「はぁ」と大きなため息を吐きながら髪をガシガシとかいた。




「堕ちてやる」




「…え?」




「堕ちてやるよ、お前が望むなら」




何を言って…




「お前が望んだ呪いの世界に、俺も一緒に堕ちてやる。そんで引き上げてやるから、お前がこんな世界もうごめんだって思うくらいに手酷くその世界を破壊して、今お前がいるこの世界に連れ戻してやる」




「………っ」




「まぁこっちはこっちでクソみたいな世界だけど、それでも呪いの中よりはマシだろう。少なからず今、お前の隣には最強の俺がいるんだからな」








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