第14章 堕ちてやる
救われた気持ちになった。
あなたとの幸せな夢の世界を手酷く破壊すると言われているのにもかかわらず、とてつもない安心感に包まれた。
堕ちてくれると言った。私と一緒に。
そして引き上げてくれるとも言った。まるで先ほどの光景そのものだ。
酷く惨めで馬鹿みたいな夢だった。それでも良い、一体何が一番大切なのか…今の私にはそれが分かったのだから。
「ありがとう…五条先輩」
「はいはい、どういたしまして」
この人の強さは、その自信に満ち溢れた眼差しだ。
当然みたいに私の手を引いてくれるその真っ直ぐさだ。
やっぱり…敵わないなぁ
きっとこの人に、私は一生敵わないのだろう。
呆れたようにため息を吐きながらも、口元では小さく優し気な笑みを作ってくれている。本当に不器用で優しい人だ。
「突っ立ってないで行くぞ」そう言って歩き出した先輩の隣へと駆け寄り、そしてニッコリと微笑んだ。
ありがとう、五条先輩。
私はさっきの言葉だけで、きっとこれから先何だって出来る。
何だって出来るんだよ、先輩。