第14章 堕ちてやる
格が違うな、と思う。
同じ術師としていることが痴がましいほどに。
五条先輩と私には、術師としての大きな大きな壁がある。
「あの鳥居か」
「そうみたいだね、もう一つは…あれかな」
境内の裏手にある真っ赤な鳥居。そしてその10メートルほど奥に同じような鳥居がもう一つ。
こんなにも周りは荒れに荒ているというのに、その鳥居の周りだけはまるで何かに守られてあるかのように雑草一つない。
ボロボロの境内とは違い、鳥居のペンキは剥げることなく傾きすらしていない。一言で言うならば…異様な空間だ。
「つーわけで、俺はこっちお前はあっちね」
「うん、分かった」
そう、私が五条先輩と共にここに派遣された理由。それは呪霊の発動条件にあった。
この二つの鳥居を、二人同時に潜るのだ。それが呪霊の出現条件。そのためいくら五条先輩が優秀でも一人でこの任務に来るのは無理だったというわけだ。呪霊が出現しないのなら、どんなに優れた術師でも戦闘は不可能だからだ。
まぁ五条先輩ならば、全てを無茶苦茶に破壊して、怒り狂った呪霊が飛び出して来るなんてこともあるかもしれないけど…