第14章 堕ちてやる
そもそも、普段の任務ならば五条先輩一人で事足りることが多い。それなのなにも関わらず私も一緒に派遣された事にはちゃんと理由がある。
「ここ本当に神社かよ、荒すぎだろ」
「だね…何処が入り口かも分かんない」
荒れに荒れた目の前の神社は、人が来るようにと病院と共に移動させられて来たにも関わらず、今はすでに忘れ去られた場所なのだろう。
草は伸び放題、それも背丈ほどの雑草もちらほら。それは進むのもやっとなほどで、本当に何処が正規の入り口かなんて分からないほどだ。
だけれどそんな私の考えは、すぐさま打ち消される事となる。
しげる草むらを進み、五条先輩の後をついて行く。そして大きく足を一歩踏み出した瞬間、ズクンっとまるで何か異様なモノの中へと足を踏み入れた感覚がした。
「ふーん、そういう感じね」
目の前では口笛を吐きながら楽しそうに口角を上げている五条先輩。うん、さすがだと思う。この場所はこんなにも得体の知れない呪力を醸し出しているというのに、何とも余裕気で楽しそうだ。
正直、私には何がそういう感じなのか分からない。だけれど五条先輩の“六眼”には全てが見えているのだろう。