第14章 堕ちてやる
昼前には現地へと着き、車を降りる。あたり一面は山、山!山だ。
右を見ても左を見ても山。空は青くやけに広い。
近くに街や民家があるわけでもなく、数年前に閉鎖された精神病棟がポツリと建っていた。こんな山奥に病棟だなんて、まぁ正直嫌な予感しかしない。絶対にそんじょそこらの病院とは訳が違うはずだからだ。
だけれど問題はそこじゃない。その建物じゃない。もちろん呪いがゼロかと言われたらそんなはずもなく、ちらほらと低級の呪いは感じる。恐らく一度祓っているのだろう。病院は呪いが吹き溜まりやすいからな、それに精神系の病院なら尚更。それがこんな低級のみで済むはずがないから。
でもメインはこの病棟ではなくて…
その病棟の裏にある、小さな神社だ。病院を立てる際に近くの神社を移動させたらしい。人が寄り付く場所にあった方がよかろうと。そもそもそれが、大きな間違いなわけだが。
そこが今回の依頼場所。
大きな呪いが溢れかえった、小さな小さな古びた神社。