第14章 堕ちてやる
「嘘だぁ!!」
あまりの衝撃に大きな声でそう言えば「なら傑に聞いてみろよ」と携帯をポケットへとしまった先輩がサングラス越しに私を見つめた。
「え、本当に?」
それならば、いつも起きないアレは何なのだろうか。スースーと気持ち良さそうに寝息を立て、油断したら二人で昼過ぎまで寝てしまう事もしばしばあったではないか。
「本当だよ」
だけど本人がそう言っているのなら、そうなのかもしれない。そもそも私相手に嘘をつく理由なんて無いし。こんな嘘ついた所で、じゃあ何でいつも遅刻してくるんですか!と七ちゃんあたりは怒り出しそうだ。
「そっか、そうなんだ」
それじゃあ私と一緒にいる時は、たまたま任務の疲れとかでぐっすり眠る日が多かったのかもしれない。むしろ、普段ショートスリーパーの人が、私がいてもぐっすりと眠ってくれている事に喜びすら感じた。
「そろそろ出発しますね、ここから車移動で2時間掛かりますので」
「はい、お願いします!」
補助監督さんが私達の話のキリがいい所でそう声を出すと、滑らかに車は走り出した。
今日は五条先輩と二人で任務だ。
それも、初めて二人で泊まりがけの任務。