第13章 その笑顔
硝子には良くクズだと言われるが、俺に近寄ってくる女もそれは変わらないだろうと思った。
捨てられると分かっていて、すんなりと脚を開くのだから。
人間は私利私欲にまみれた生き物だ。
そして女は自分の弱さを利用して男へと縋り付く。
その証拠に、ガキの頃は良く寝所に下着姿の女が忍び込んで来た事もあった。
五条の優秀な遺伝子を孕もうとしたのだろう。
十を過ぎたそんなガキ相手に、だ。
もちろん俺の寝所に来たことを後悔するくらいには、酷く返り討ちにしてやったが。
気持ち悪ぃ、吐き気がする。
傑や硝子にこの話をすれば、二人は目に涙を浮かべて爆死していたけれど、他人事だと思って本当ひでェ奴らだとは思わなかった。大して思ってもないような同情をされるより、よっぽど俺にはそれが正しく見えたからだ。
床に乱雑に脱ぎ捨てられた数十万はするであろう着物を見て、後でゴミ箱に丸めて捨ててやろうなんて思う。
白銀の髪をかきあげ横へと視線をやれば、自身の腕の中でスースーと気持ち良さそうに寝息を立てるその姿を見つめ、思わずフッと小さく微笑んだ。