第13章 その笑顔
自分にとっての女は、いつだって鬱陶しくただ都合の良い存在だった。
次期当主だからと媚を売る視線
俺の外見だけで判断し近寄ってくる奴ら
それを冷たくあしらえば、非常識だの見た目に騙されただの勝手な事を言う。
誰が頼んだ、俺に近寄って来いって。
見た目に騙されただ?勝手にイメージを作り上げて綺麗なもんだと思い込んでいたのはテメェらだろうが。
まるで馬鹿の一つ覚えみたいに同じ事を何度も言われた。だから何だ、どうでも良い。そう、女なんてどうでも良い存在だった。
いくら俺の口が悪かろうが性格が悪かろうが、女なんて掃いて捨てるほど寄って来た。自分から声をかけた事なんて一度もない、声をかけて来た中から気が向けば適当な奴を選んで欲を発散させた。
それもただゴミを捨てるようなもので、それと何ら変わりないそんな行為。任務で疲れた身体を癒すのでは無い。胸糞悪りぃ任務の後に行き場を失った熱をただ発散させたかっただけだ。
入れて出す、ただそれだけ。
キスは愚か、行為の後にベッドで女が眠ろうとするもんなら直ぐに追い出した。「早く出て行ってくれる?邪魔なんだよね。俺休みてェんだけど」そんなことを言えば女は唇を震わせ涙を流す。だけれど、それすらどうでも良かった。