第13章 その笑顔
呪いの溢れる世界。クズみたいな奴らで固められた環境。
愛ある家族、親しい友人、大切なモノ
そんなものは俺にはない。ずっとそう思っていた。
それが少し変わって来たのは…高専に入ってからだったか。
傑と硝子に出会い友人という名の関係を知った。
夜蛾センを見て、クソ以外の大人も存在するのかと思った。
一つ下の後輩達が入学してきて、仲間という言葉の意味を理解した。
それはまるで赤子が初めて見るものをどんどんと吸収していくかのように、自身の中へと素直にすとんと落ちていったのだ。
今まで過ごして来たのは異様な世界だった。異様な人間達に囲まれ、そして過ごして来た。でも今は少し違う。
大口を開けて笑える親友がいる
呆れたようなため息を吐きながらも、何だかんだ仲の良い友人がいる
それなりに信頼している教師もいれば
自己中心的な自分にしては、可愛がっている後輩達だっている。
そして何より…