第12章 黒い玉
恥ずかしく思っていた。
荒れた手も。アザだらけな身体も。
普通の女子高生達は皆んな、綺麗なメイクと華やかな髪型をして可愛く制服を着こなしているのに、私はいつだって傷だらけで任務後なんか埃まみれだ。
自分なりにオシャレや流行には気をつかっているつもりだし、もちろん可愛い物や買い物が大好きだ。休みの日はお気に入りの服を着て出かけるし、メイクだって可愛くなりたいから一生懸命研究している。
それでもやっぱり普通の女子高生に比べたら、普通ならあり得ないような生傷は絶えないし、手先もボロボロだ。
「本当ですか?」
「本当だよ」
だから嬉しかった。それが例え先輩の優しさだったりお世辞だったとしても。私にとって切っても切り離せない呪術というモノが染み付いたこの手を、傑先輩が好きだと言ってくれたのが嬉しかった。
「でも傑先輩や五条先輩くらい強くなったら、きっとこんな傷なんて出来ないんだろうなぁ」
「うーん、最近怪我したのはいつだったかな?忘れてしまったよ」
「うわ!嫌味だ!」
「ふふ、そう怒らないでくれ。このくらいでしか格好付けられないんだから」