第12章 黒い玉
「口直しありがとう、助かったよ」
それならば、私はそんな傑先輩の役に少しでも立ちたい。
「今度は飴とガムも用意しておきますね!!あ、すっごく酸っぱいオススメのグミがあるんです!それ買ってきます!絶対スッキリするから」
傑先輩の苦痛を少しでも良いから和らげて、少しでも良いから癒せたら…
「ふふ、ありがとう。酸っぱいの好きなの?」
「夜の任務前に眠気覚ましで良く食べるんですよ、ミント系より効く気がして」
「なるほど。でも私は梅干しも気に入ったよ」
クスクスと笑う傑先輩は、先ほどのことでも思い出しているのだろうか、楽しそうに肩を揺らして笑っている。
良かった。傑先輩に笑顔が戻って。本当に良かった。
「じゃあこれからはポケットパンパンにお菓子詰めて傑先輩に渡しに行かないと」
ニコニコと先輩を見つめそんなことを言えば、傑先輩はふっと優しく瞳を細め目尻を下げた。
「私が貰いにいくよ、エナのところまでね」