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【呪術廻戦】抱きしめた分だけ君を想う

第12章 黒い玉





傑先輩は、まさか私がそんなことを聞くとは思って居なかったのだろう。明らかに驚いた様な表情をしたあと、少し困ったように顔を歪ませた。




困らせてしまった…だろうか。




術師は何かしら、暗いモノを抱え生きている人達が多い。



何度も繰り返される死を身近に感じ、呪いという一般人にとっては知りもしない存在と闘い続けている。


もちろんそれだけではない。生まれ持った術式に悩まされ、そして幼き頃から呪霊が見えるという恐怖と闘って生きて来た。





傑先輩は一般家庭の出だ。つまり家族は呪霊が見えないという事。そういう人達は尚更に、今までどんな人生を歩んで来たかなんて想像も付かない。




高専に入学してからは今まで以上に色々な経験をし、そして何度も胸がエグられるような経験だってして来たはずだ。




私だってそうだ。ただ何も考えず、この歳まで何の悲しみや苦労を抱えず生きて来たわけじゃない。自分が死にそうになったことだって何度もある。逃げ出したいと思った事だって…




傑先輩が今、一体どんな気持ちでいるかなんて詳しくはやっぱり分からないけれど、それでもこの人の手を今強く握りしめたいとそう思う。









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