第11章 無意識に
朝、飛び上がるほど大きなアラーム音で目を覚ました。
しかしながら、隣にいる人物は全くと言って良いほど起きる気配はなくて、スースーっと気持ち良さそうに穏やかな寝息を立てている。
切長な瞳は伏せられ、いつも見えている黒色のピアスは長い髪で隠れている。スッと通った鼻立ちに薄く形の良い唇を見て、やっぱりすごく整った顔立ちをしているなと思った。
いや、それにしてもアラームがうるさい。こんなうるさい中…身体をピクリとも動かさず寝ているなんて、どれだけ爆睡なんだろうか。
「先輩、アラーム鳴ってますよ」とそこまで話して昨日のことを思い出す。
そうだ、名前と敬語…
昨日の今日で恥ずかしさはあるものの、練習しなくては…誕生日当日に完璧にする為には。
「傑先輩、起きて」
そこそこ大きな声で言ったとは思う。だけど、うるさく鳴り続けるアラームほどかと言ったらそうではなくて…それなのにも関わらず、私の声に反応したのか傑先輩は身体をピクリと動かしゆっくりと瞳を開いた。