第9章 合同任務

心の奥底が重たい。まるで鉛の塊がつまっているみたいだ。




だけれど今この瞬間にも涙を流さずに済んでいるのは…間違いなく夏油先輩が一緒にいてくれているからだろう。





「夏油先輩…私を連れて来てくれてありがとうございます」




もしもあのままあそこにいたら、私はきっと酷くみっともないほどに泣いていただろうから…




「でも私、少しだけホッとしてるんです」



「ホッとしている？」




私のそんな言葉に、少しばかり首を傾げた先輩の髪からポタリと水滴が落ちる。





「…だって、あぁして五条先輩が色んな人と遊んでいるうちは…五条先輩は誰のものにもならないなら」




それはもちろん、私が五条先輩の特別になれないということでもあるけど。




「だから五条先輩が色んな女の人と会っているうちは安心なんです。怖いのは…誰とも会わなくなった時」




その時はきっと、五条先輩に本当に好きな人が出来た時だと…そう思うから。





「だからホッとしているんです。私って…惨めでどうしようもないでしょう？」