第9章 合同任務
明らかにじっと見つめて来る私を不思議に思ったのか、夏油先輩は「どうかしたかい?」と首を傾げるとそのままベッドへと腰掛ける。
「ペアルックだなと思って」
「ふふ、確かにそうだね。ペアルックだ」
話しそうに瞳を細めた夏油先輩は小さく笑う。それがまたさらに色っぽくて、思わずドキリと心臓が疼いた。
「今日は一緒に寝ようか」
その言葉に、私は黙ったままこくりと頷く。
夏油先輩は何も言わずに私をここに連れて来てくれたけれど、それは夏油先輩の優しさだ。何でいきなり夏油先輩の部屋に連れて来たのだろう…初めはそんな事を考えていたけれど、そんなの普通に考えれば分かる事だった。
あのロビーでの状況に、そしてあそこで立ち尽くしていた私。きっと酷い顔をしていただろう。間違いなく…どこまでも滑稽で哀れな表情をしていたことは間違いない。
そしてそんな私の手を夏油先輩はそっと引いてくれた。何も言わず、何も聞くこともなく。ただ優しく、私の手を引いてくれた。
そこに言葉は無くても、夏油先輩は当たり前みたいに私に手を差し伸べてくれる。
私の心へと、手を差し伸べてくれる。