第9章 合同任務
思わず唖然と立ち尽くし四人を見つめる。
これから何処かへ行くのだろうか、行かないで、行かないで欲しい。話しかければ良いかな。そうすれば行かないでくれるかもしれない。偶然会ったみたいに行けば大丈夫かもしれない。だけどウザがられる可能性も…
そんな事をごちゃごちゃと考えていたせいかもしれない。女性と話をしていた五条先輩は、夏油先輩に何かを告げるとそのまま女性とこのホテルの入り口とは反対方向へと歩き始めた。
「え…」
そんな五条先輩へと夏油先輩が何か言っている気がする。だけどそれでも五条先輩は歩みを止める事はなくて、暗闇へと姿を消した。
残された夏油先輩ともう一人の女性は、数度言葉を交わしたかと思うと、夏油先輩はそのまま女性を置いてホテル内へと入ってくる。
もちろんそうしたらば、こんな入り口付近で唖然と立ち尽くしている私を見逃すはずも無くて
「…柊木」
「夏油先輩…」
私を驚いたように見た夏油先輩は、次の瞬間にはその顔を歪めると少し困ったような申し訳無さそうな表情をした。
「ごめん、止められなかった」
その言葉が何を意味するのか一瞬混乱したものの、その止められなかった何かが“五条先輩”だと言う事はすぐに分かった。だって、きっと私は今酷い顔をしているはずだから。