第9章 合同任務
いくら寒く無いと言ったって今は12月だ。それに昼間ならまだしも、陽の隠れた夜。これはどう考えても夏油先輩の優しさだ、寒く無いわけがない。
「夏油が良いって言ってるんだから借りときな、無駄にガタイ良いんだからこんな時くらい役に立ってもらわないと。で、五条、私には?」
「は?寝ぼけてんの?俺は貸さねェよ」
夏油先輩に学ランを返そうとしたところで、聞こえてきた硝子先輩の言葉にピタリと動きを止める。そしてちらりと夏油先輩を見れば「硝子もあぁ言っているしね、気にしないで着てくれると嬉しいよ」とやはり優しいその言葉に「ありがとうございます」と小さく呟き夏油先輩の学ランをギュッと握りしめた。
夏油先輩のあの安心する香りが鼻をかすめて、何だか一緒にベッドで寝た日のことを思い出してしまう。少し恥ずかしいな。
けれど温かくて、まるで夏油先輩に包まれているみたいなその感覚に、胸がトクトクと小さく音を上げた。
「五条モテないでしょ」
「うっせェ、モテまくりだわ。七海貸してやれ」
「いや、寒いんで無理です」
「硝子先輩、僕の着て下さい!僕暑がりなんで、今お好み焼き食べてちょうど暑いなと思ってたんです」
「灰原良い子」