第9章 合同任務
何でも高専に入るまでほとんど個人的な自由などはなく、食事ですら毒味役がいたんだとか…それはファミレスやラーメン屋で食事が取れるわけがない。だからきっと、お祭りもほとんど行ったことなど無かったのだろう。
何だかそんな話を聞くと、やはり呪術界御三家の次期当主ともなると生きて来た世界が別次元なのだと思った。
私だって一応呪術師の家系ではあるが、そんな大それた術式などの遺伝がある家系ではないし、なんならとても単純で使い勝手の良いごくありふれた術式のように思う。
だから誰かから命を狙われる事も、ましてや食事に入った毒を気にする事なんて一度だって無かった。呪いの見える呪術界ではありふれた、ただただ普通の幼少期を送ってきた。
だけど五条先輩は、ファミレスどころかお祭りにも来たことが無かっただなんて…それを聞いただけではとても幼少期時代の五条先輩のことを創造することは出来そうもない。
きっと五条先輩なりに色々な気持ちを抱えていたに違いない。周りのことなど気にしないと…今だからこそそんなスタンスでいるが…それが果たして小さな子供の頃からそうだったのかと言うとそれは分からなくて…
だからこそ今こうして皆んなでファミレスに行ったり、お祭りに来たりしているこの時間を、五条先輩ともっともっと楽しめたら良いなと心から思った。