第1章 無茶な恋

夏油先輩の言葉が胸に沁みた…馬鹿みたいに心臓が痛くて、馬鹿みたいに息苦しくて…そして、どうしようもないほどに五条先輩が好きだとズキズキとする胸を抱えながらそう思った。




「げと…せんぱい…私…どうしたら…良いですか…」




きっとこんな事を聞かれたって、夏油先輩は困るだろう。親友とセフレをしている後輩に相談をされるなんて。それこそどう答えたら良いか分からないはずだ。




だけどそんな私を、夏油先輩は鬱陶しがる事もなく、もちろん拒否することもなく。




「泣いても良いから、我慢なんてしなくて良い。今ここには私と…柊木しかいないよ」




優しく温かい声に、穏やかで静かな声に。私はまるで引き寄せられるようにして、ただひたすらに涙を流した。



泣きすぎて頭が痛くなっても、目を擦りすぎて瞼がパンパンに腫れてしまっても。それでも涙は止まらず流れ続けた。




私の背を優しくさするようにして何度も往復していた夏油先輩の温かい手が、私を余計にそうさせたのかもしれない。




「大丈夫だよ、辛い気持ちと一緒に全部吐き出してしまいな」




そう言って私を心配そうに見つめる夏油先輩の声に、心底安心して私は涙を流し続けたんだ。