第9章 合同任務
「五条!!私はね」そう歌姫先輩が言いかけた瞬間、彼女の真後ろの瓦礫が崩れ大型呪霊が大きな口を開け、いつの間にか歌姫先輩の背後にいたデカい呪霊へとかぶり付いた。
「飲み込むなよ、後で取り込む」
瓦礫が崩れ落ちる音と共に、そんな夏油先輩の冷静な言葉が響き渡る。
「悟、弱いものイジメは良く無いよ」
「弱い奴イジメる馬鹿がどこにいんだよ」
「君の方がナチャラルに煽っているよ、夏油君」
「あ…」
「歌姫先輩〜無事ですか〜?」
「大丈夫ですか??」
「硝子!エナ!」
大きな穴になっているソコへと硝子先輩と共に顔を覗き込ませれば、涙目になっていた歌姫先輩がこちらへと大きく手を振った。
「心配してたんですよ、2日も連絡なかったから」
「2日…?」
どうやら呪霊の結界で時間がズレていたらしい。珍しいが、時々そういうことが起きる時もある。
「大変でしたね」と私の隣にいる雄ちゃんが労わるような声を出した時だった。
「それはそうと、君達“帳”は?」
冥さんの言葉にそこにいた全員がパチパチと瞬きをした後、呆然と立ち尽くした。