第8章 気まぐれ
今日は確か、五条先輩は休みのはずだ。となると、邪魔だと思われる前に部屋から出て行くのが賢明な判断だろう。
上半身裸のままベッドから起き上がり引き出しからティーシャツを取り出した五条先輩は、それを着ると携帯をポケットへとしまう。
そんな背中を見て何処かに行くのかなと察した私もベッドを降りてその背中へとついて行けば、部屋から出ようとしていた五条先輩がこちらへと振り返った。
何だかこの光景昨日も見たなーなんて呑気なことを考えながら、サングラスをかけた五条先輩を見上げる。
「お前、その格好で外出る気?」
「へ?」
「さすがにノーパンはやべェだろ」
その言葉にパッと自身の下半身へと目を向ける。
「…っ!!!」
いや、そうだよ!スースーするとは確かに思ってた!!夜中にね!夜中に目が覚めた時!!その時は確かに分かってた。私はパンツを履かないまま気絶するみたいに眠っていて、かろうじて五条先輩が着せてくれた大きな彼のティーシャツを着ているだけだって。
そして今見た自分の格好は、もちろんその時と何ら変わりあるはずもなくて、背の高い五条先輩のティーシャツなだけあって、私が着るとギリギリミニ丈のワンピースみたいにはなっているものの、それは決してワンピースなわけもなく、なんなら太ももギリギリのラインを攻めている。
そんでもってノーパンだ。
私、パンツ履いてないじゃん!!!!