第8章 気まぐれ
「最後…本当に派手に死んだね」
「飛び散ったしな」
「その言い方なんかすごく嫌だなぁ」
「お前本当にこんなのが観たかったの?趣味悪すぎ。流石の俺でも結末に引いたわ」
この五条先輩を引かせるだなんてよっぽどだななんて思いながら、エンドロールに流れている黒い画面をぼーっと見つめる。
「だってこの作品、凄く話題になってたし人気だったから面白いのかと思ってたのに」
「まぁある意味面白かったけど」
可笑しげに口角を上げる五条先輩は、テーブルに置いてあったコーラの蓋を開けるとそれをゴクゴクと喉へと勢い良く流し込んだ。
「なかなか胸糞わりぃ映画だったな、傑に教えてやるか」
携帯を取り出しカチカチと何かを打ち始めるその指は、さっそく夏油先輩へメールでも送っているのか、こんな映画を親友にオススメする辺り本当に五条先輩らしくて思わず苦笑いが漏れた。
夏油先輩には後で、この映画は絶対に見ない方が良いと教えといてあげよう。