第8章 気まぐれ
ゆっくりと綺麗な顔が近付いてくると、碧色の瞳はふんわりと細められそして楽しそうにこちらを見下ろした。
「……っん」
私は当然その美しい瞳からも、意地悪な声からも、器用に甘さを与えてくる唇からも抗うことは出来ない。
「口、開けて」
くちゅくちゅと絡み合う舌は、私の身体中の感覚を麻痺させそして甘い世界へと連れて行ってしまう。
それはどこまでも簡単に、そしてどこまでも深く…だ。
「…ふぁっ…んンっ」
ピチャピチャとまるで煽るようなその水音に、下半身がジンジンと熱を持っていく。あぁ嫌だな、どこまでも素直で欲望に塗れたこの身体が嫌だ。
だけどそれは五条先輩も同じなのか、微かに膨らみを増した下半身を私の下肢にゴリっと押し付けると、顎をクイッと持ち上げさらに口内を掻き回す。
「ンんっ…」
気持ち良い、キスをしているだけなのに自身の欲望がどんどんと張り詰めて行くのが分かる。ダメだ…このままじゃ止まらなくなりそう…
ぼーっとした頭でうっすらと瞳を開き目の前の五条先輩を見つめれば、細く開いていた瞳をゆるりと弧を描くように緩めそしてゆっくりと唇を離した。
「ふっ、キスだけでイッちゃいそう?」