第8章 気まぐれ
それでもそれが私達の関係なのだから仕方ない。
五条先輩の部屋に入ったものの、入り口付近で佇んでいる私を五条先輩はサングラス越しに不思議そうに見つめると、自分は早々とベッドに座り隣の布団をぽんぽんと叩く。
「何してんの?」
「え…」
「隣り来れば」
「あ、うん」
やっぱりエッチかな。まぁ確かに傷の痛みはもうほとんど無いし、絶対安静と言われてはいるがほぼ元気な事には変わりない。
側から見てもピンピンしているだろうし、何ならさっきはテレビを観ながらボリボリとお菓子まで食べていたから内臓も回復済みだ。
五条先輩に言われるがままベッドへと向かい隣に座れば、ギジリと私の背の後ろに五条先輩の腕が来てベッドを軋ませる。
ゆっくりと近付いて来る五条先輩の顔、今日はサングラス外さないんだ何て思いながら彼を見つめる。
そのいきなりの行動に驚きつつも、目の前の五条先輩の服をぎゅっと握りしめ目をつぶろうとした時だった。
「どうした?」
どうした…とは?
突然聞こえてきた五条先輩のそんな声に、薄らとしか開けていなかった瞳をパッチリと開く。