MapleProject〜Happybirthday〜
第17章 山吹玲於誕生日特別ss
『へぇ〜…』
「な、なんでしょう…?」
『さっき、音楽関係の仕事してるって言ってたじゃない?今はね、こんな事務所をやってるの』
差し出された1枚の名刺。受け取るとそこには
「Maple Project…?」
『簡単に言うとアイドル事務所ね。今5つのグループがいるんだけど、新しく6つ目のグループを作ろうと思っててね。』
「はぁ。それで…?」
『あなた、そこに入ってみない?』
「…はい?」
『新しいグループのアイドルとして、来て欲しいの。』
「なんで俺が!?」
『顔も全然かっこいいし、動けそうだし。それに、ラップができるアイドルなんて数える程しかいない。磨けば光りそうだなって。』
「いや、無理ですよ俺なんかが…それに、この店も手伝わないとだし…俺にアイドルとか…」
『まぁ、最初は抵抗があるのも仕方ないわ。でもね、これだけは覚えといて。私、諦め悪いのよ。また来るわね、ごちそうさま。』
俺がアイドル…?確かにラップを通して音楽の楽しさや、歌うことに対する気持ちはとてもいいものだった。
でも、それを色んな人に見せる人になる…?
母さんの串カツ屋を継がずに…?
そんなことばかりが頭を駆け巡る。
「玲於…?そんな浮かない顔してどうしたの?」
「…ん?あ、母さん…いや、なんでもないよ!大丈夫!さ、仕事戻ろうぜ?」
「…?そう?ならいいんだけど…」
とりあえず母さんには言わないでおこう。心配をかけたくない…
それから1週間後。本当にもう一度スカウトをしに来た。
『こんばんは。あれから考えてくれた?』
「あ、いらっしゃいませ。うーん…考えてはみたんですけど、やっぱり俺には向いてないというか…」
『やってみたい!って言う気持ちはあるの?』
「そりゃ、ラップとかやってて音楽は楽しいってことは分かりますし、やってみたいって言う気持ちはあるんですけど…」
『けど?』
「俺に出来るかも分からないし、この店のこともあるし。
そもそも俺、ずっとこの店中心で生きてたんで、人との交流とかもちょっと苦手というか…」
『なるほどねぇ…』
「玲於?お客様となんの話してるの?」
「あ、母さん!?あ、いや、これはその…」
『玲於くんのお母様ですか?初めまして。実は…』
「待ってください!ここは俺が話します。」