MapleProject〜Happybirthday〜
第14章 水無瀬奏誕生日特別ss
「ん…あれ…?ここは…?」
『あ、よかった目が覚めたのね。ここは私の会社。あなたが駅で倒れるところに偶然居合わせたんだど……だいぶ疲れていたみたいだしちゃんと休まないとダメよ?』
「すいません…あ、今って何時ですか!?」
『もう夜の19時よ。あなた一日中寝てたの』
「えっ、もうそんな時間!?仕事始まっちゃう!すいません、今日は本当にありがとうございました!いつか必ずお礼に来ますので!!!…っと、あれ?」
体が思うように動かない。立ち上がった瞬間また視界がぐらつき、その場に座り込んだ。
『ほら言わんこっちゃない…というか、今日も仕事なの?でも、今日は無理ね。会社に連絡してお休み貰いなさい。』
「でも…稼がなきゃ行けないんです…もっと…稼がないと…」
『そうは言っても倒れてたら元も子もないでしょ…ほら、私が電話してあげるから、携帯貸しなさい。』
「携帯…持ってないです。携帯料金なんて払ってられないので…」
『どういうこと…?はぁ…。わかったわ。会社名を教えてちょうだい。それと、少し話をしましょう。』
「……………………………………」
『会社の方に話は通して置いたわ。とりあえずは体調が戻るまで休みなさいとの事よ。』
「………分かりました。」
『…それにしても驚いたわ。あなた、その仕事以外にもあと2つも掛け持ちしてるなんて。なんでそんなに働き詰めなの?あなたまだ若いでしょう。』
「18になったところです。」
『18!?まだ未成年じゃない!ほんとに何があったのよ…
私で良かったら、話してみなさい』
「…はい。」
俺は社長さんに全てを話した。
途中、涙が溢れてきた。
でも、この涙は悲しいだけじゃなかった。
初めてだった。こんなに親身になって話を聞いてくれたのは。
『……なるほどね。それは、すっごく辛かっただろうね。
でもね、こんな大変な思いをする事はお父さんは望んでない。それは分かるわね?』
「分かってます…でも、俺も働かなきゃ行けないんです。早くちゃんとした生活を送りたいんです!」