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MapleProject〜Happybirthday〜

第10章 松永朝陽誕生日特別ss


「別に『なんでも出来る』 ことそのものが嫌なわけじゃないんです。
ただ、元から器用な人って言われると、 オレが努力してきた過程を無視されてるような気がして…」

そう語る松永くんは認めてもらうことを諦めた瞳をしていた。
そんな姿を見ていられなくて私は口を開きかける。
でも私より一瞬早く動いたのは社長だった

『ねぇ、せっかくここで会ったのも何かの縁だし! 私たち今から事務所に帰るところだから、 一緒に来てみない? 今ならレッスン見学付き。 どう?』
『社長! そんな急に言ったって、 松永くんにも予定が...』
「 …. 行きます!」
『え?』
「見学させてください!」

そうして事務所に案内して、 松永くんはレッスンを見学している。
その瞳は輝いていた。

『どう?楽しそうでしょ』
「はい!」
『!? え、 それ….』
「レッスン見てたらなんとなく覚えちゃいました! 合ってます?」
『合ってるけど…...。 ねぇ、 歌えるなら、 踊れたり….. する?』
「えぇ!?…んーと、こんな感じ... かな?」

..... すごい。 30分足らずレッスンを見学しただけでここまで歌っ
て踊れるなんて。 この子は今までどれだけの努力をしたんだろうか.

『......すごい』
『ほんと! すごいすごい! 今までたくさん努力したんだね!』
「·····え」

松永くんにとって社長の言葉は予想外だったらしく、 目を見開いて固まっている。

『だってそうでしょ? もちろん才能も少なからずあるんだろうけど、 才能があるだけの人なんてたくさんいる。
自分の才能にあぐらをかいて努力せず消えた人もたくさん見てきた。
でも松永くんは違う。
もともとある才能にあぐらをかかず、 努力した。
だからここまでの実力がついてる』
『私もそう思います。 これは才能だけで出来ることじゃありません』
「......初めてだ」
『え?』
「初めて、オレの努力に気づいてもらえた。…….頑張ってきて....よかった……!!」

そういって涙をぐっと拭った松永くんの瞳には強い意志が宿っていた。

「オレ、アイドルなりたいです。 この事務所に入れてください!!」
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