第1章 突然の別れ
二人はどこかに攫われた。
本来なら警察に通報するのが正しいかもしれないけど、私の勘が間に合わないと告げている。……どうしよう。
取り敢えずにと、四季の部屋から小型銃を持ち出し、見た目の装備を完成させる。……乗り込むにしても、流石に一人じゃ怖いし、何より情報がない。
ひとまず外に出て、情報の整理をしようとした所で、偶然配達途中だった蕎麦屋のおじさんと遭遇した。
「……なんだぁ、これ」
「私が来た時には、もうこうなってて……」
夢を見ているかのような表情で、おじさんが私に話しかけくるも、私も状況はわかっていないので、何も説明はできない。
「でも、きっと何かに巻き込まれたんです!誘拐犯とか、テロとか……?」
「……そういや、さっき剛さんのことの車が、工事現場にあったような……」
「どこ!?」
「……えっ、ああ、あのマンションができるとこだよ。でもな、お前さんは行くなよ。俺が警察に連絡する…っていねえ」
ごめん、おじさん!人間は行くなって言われたら行きたくなる生き物だから!!
走りづらいが、ローファーのままその工事現場へと向かう。
……待っててね、四季!おじさん!