第1章 馴れ初め

「く、来るな！！」
「…」
私の叫びも虚しく、ゆらゆらと近づいてくる男。
後ろで震えているアカネちゃん。
男が飛びかかってくる。
なんとか受け流す。
あの事件以来、ガントさんから護身術を習っていてよかった。
それでも相手は殺人犯。
どんどん押されていく状況。
腕には無数の切り傷。
それでも、アカネちゃんを守らなきゃ。
私があの時、ガントさんに助けてもらったように。
男が私に向かってナイフを振り上げる。
「ッ…！！！」


ｶﾞｯ＿＿＿＿＿

雷の影響か、停電した部屋に一つの稲妻が落ちる。
私の目に焼き付いたのは、男…アオカゲの体が宙を舞う姿。
それと……救世主。
「グハァッ！！！」
拘束されていくアオカゲを見て、体の力が抜ける。
その後すぐに駆けつけた検事さんに、アオカゲは連行されていった。