第5章 Big blue lilyturf
ローズが倒れてから一週間が経った。
この一週間、リヴァイが「どちらにせよ養生は必要だ」と言い張り、ローズを家から一歩も出さなかったのだ。
「じゃあ、行ってきます」
まだ看病したりない、と言いたげなリヴァイに手を振り、酒場へ急ぐ。
店主をはじめ、よくしてくれている常連さんはきっとローズのことを心配しているだろう。体調不良はよくなったことを伝え、またいつものように元気に働こう。
「いらっしゃいませ〜」
ドアベルが来客を告げる。
ビールを運んでいたローズは声を出し、顔を上げた。
「空いてる席にどうぞ!」
二人組の客がいた。地下街の人間ではないのだろう。こざっぱりとした、まだ青年と言ってもいいくらいの見た目だ。
「何緊張してんだよ、エルヴィン」
「いえ、地下街に来たのは初めてなので」
先輩らしい男が、落ち着かないように店内を見渡す青年の肩を叩く。
金髪の青年はどうやらエルヴィンというらしい。
ローズはメモ帳片手に二人組の座った席へと近づく。
「いらっしゃいませ。注文は決まったかしら」
ローズの声にエルヴィンが目を上げる。
綺麗な青い瞳をしていた。