第3章 Sun flower
ぎょっとしたようにリヴァイは立ち上がり、「ローズ」と名前を呼んだ。
「わ、悪い。まさか泣くほど悩んでたって思わなくて」
「ううん、ううん、違うの。あたしこそ急に怒鳴ってごめんね」
ここにいるだけでいいと思われていたなんて、考えもしなかった。
突然押しかけたローズを鬱陶しく思っていないのだとわかって、安心したのだ。
「リヴァイにそう言ってもらえてよかった。うれしい」
にこりと笑う。こんなにも自然に笑顔が溢れたのは初めてで、少しこわばってしまったかもしれない。だが、リヴァイも恥ずかしそうに笑い返してくれた。
「でも、リヴァイ。あたし、やっぱり働きたい。ちゃんと目に見える形で恩返しがしたい」
ローズは決意を固めてもう一度言った。
これからのことを思うと、お金は貯めておかなければならないからだ。
リヴァイはゆっくりと椅子に座る。
「お願い、リヴァイ。危ないことはしないし、何かあったらすぐ助けを求めるから」
だから、お願い。
「……わかった」
腕を組み、たっぷり悩んだ後リヴァイは渋々頷いた。
パァッと顔を明るくし、思わずその場に立ち上がる。
「ほんと!?」
「あぁ。ただし」
途端に浮かれるローズに釘を刺すように、リヴァイは声を張り上げた。
「仕事が終わったら迎えに行く。いいな?」
「こ、」
「あ?」
「ナンデモアリマセン」
子どもじゃないんだから、という言葉は寸前で飲み込んだ。