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999本の薔薇〈進撃の巨人〉

第3章 Sun flower



 ローズは悩んでいた。
 地下街に転がり込んでから早くも3ヶ月。村から追い出された時はどうなるかと思ったが、それを忘れてしまうほどに穏やかに生活していた。
 リヴァイと共にいるおかげで地下街の怖い人たちに目をつけられることもなく、比較的平穏だった。

 だが、ローズは別の悩みを抱えていた。
 それは金銭問題である。

 別に金がない訳ではない。二人で慎ましく暮らしていく分には困らないだけの金をリヴァイが定期的に持って帰ってくる。(地下街に迷い込んだり、物を売りに来た裕福そうな人間から盗んで)
 

(申し訳ないなぁ……)


 だからこそ、何もしていない自分に悩んでいた。
 リヴァイにばかり負担をかけているような気がするのだ。この家もリヴァイが住んでいたものだし、ローズがやっていることといえば料理と買い出しのみ。これでは対等とは言えない。

 しかしリヴァイにこんなことを言えば「余計なことはしなくていい」と言われてしまうに違いない。
 うんうんと悩みながら、一週間に一度の頻度で行っている買い出しに出掛けていた時だった。


「あぁ? 辞める? ……そうか。まぁ止めはしねぇよ。今まであんがとな」


 声の主は露店の隣にある酒場の店主のものだった。
 お金を払い、顔を上げる。恰幅のいい店主と男が店先で話している。男がしきりに頭を下げていて、彼が酒場の仕事を辞めるのだと理解した。

 男がいなくなり、一人になった店主は大きなため息をついた。


「ったく、困ったな」


 ばりばりと頭をかきながら店の中へ戻ろうとする。


「あ、あのっ!」


 気づくとローズは店主に声をかけていた。
 このチャンスを逃してはいけないと、誰かに背中を押されたような気分だった。



 
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