第2章 Geranium
ローズの手を取り、地下街を歩く。ローズをじろじろと見てくる男どもにガンを飛ばしながら、リヴァイはローズの手を握る力を強めた。
「リヴァイ、どこに行くの?」
きょろきょろとしながらついて来るローズは、呑気そうに聞く。
「まだ言わねぇ」
これはサプライズだ。今どこに行くか言ってしまえば驚きも薄れてしまうだろう。
リヴァイの答えに後ろのローズが苦笑したような雰囲気があった。
どれだけ歩いただろうか。
人通りも少なくなり、ジメジメとした湿っぽい空気が爽やかなものに変化していく。春の香りを乗せた風がどこからか吹き込んでいるのだ。
「……ついた」
リヴァイはやっと目的地についたことに気づき、足を止めた。
「すごい……」
するりと手が離れる。ローズはリヴァイの前に出て、目の前の光景に目を見開いた。
そこは地下街の奥にある空き地だった。天井には穴が空き、さんさんと日が注いでいる。その下に溢れんばかりの草花が咲き誇っていた。
「地下街にこんな場所があったなんて」
さくさくと草を踏み分け、ローズは日を浴びて気持ちよさそうに伸びをした。
「連れてきてくれてありがとう。リヴァイ」
彼女は笑って振り返る。
その声で名前を呼ばれると心のどこかがざわついた。