第9章 今日の終わりは……
「「…………。」」
モゾモゾと頑張って動きながら上に這い上がり、言葉少年の顔を見てみると満足したように気持ち良さそうに眠っていた。
(こっちの気持ちも知らないで…ヴィランよりも厄介だぞ君は…)
小さく盛大にため息を吐き、ゆっくりと起こさないように起き上がろうとした…けれどある事を思い出した。
(言葉少年は何故か治癒をする時相手に『キス』をする。別に触れるだけでも声を聞かせるでも良いはずなのに……。きっとそれはリカバリーガールがそういう治療の仕方だからその方が君もイメージしやすいんだろう?)
「…………。」
起き上がるのを辞め、言葉少年を胸の中に収めギュッと抱きしめる。
(頭の中ではわかっているさ…けれど想像してしまうと……やはり、胸が痛む…)
大人気ない感情だとわかっている。
(君は緑谷少年の何処にキスをしたんだろ?)
けれど……今だけは……
言葉少年の顎をクイッと持ち上げ柔らかそうな唇に私の唇を近付ける。
「…………。」
私の理性が動きを止めた
後悔するぞ
と警報するように……
私は片手で言葉少年の前髪を上げ、おでこにキスをした。そしてまた抱き締め頭を撫でた。
(あ、危なかった……!!)
何とか我に返り、私自身を叱りつける。
(相澤くんと言葉少年のマンションでたまたまあった時、既読がつかない治癒をして倒れているかもしれないと聞かされた。やっぱり駐輪場で治癒をしたのかと思った時…酷く胸が痛んだ……
けれど、私の私利私欲の感情で君を縛っては行けない。だから治癒するなとは言わない……
けど……
出”来”れ”ば”キ”ス”以”外”の”や”り”方”で”治”癒”が”出”来”る”よ”う”に”な”っ”て”欲”し”い”な”!
色”ん”な”人”が”危”な”い”か”ら”!!)
スリスリスリッと擦り付きながら、ギュッと抱きしめる。
「……ングッ……グッ!」
「……!!ゴメン!」
言葉少年の苦しそうな声に腕を緩め謝り、旅立っていた布団を手繰り寄せ、二人で布団にくるまる。
すると、言葉少年の方から私の胸に擦り寄ってきた。
まるでさっきの黒い感情を消すかのように私の感情を豊かに戻してくれた。
私は安心したのか、眠気が一気に押し寄せてきてそのまま眠りについた