第9章 今日の終わりは……
………………。
数分後、お風呂から上がった私は椅子に座り冷たい水を飲んだ。
(少し…逆上せたかな)
頭がフラフラとする。原因は分かっているけども…
(相澤くんに任されたのに不甲斐ないな…そして何処か罪悪感が……)
言葉少年は私に言われた通り自室に寝に行ったようだ。一人氷が入ったコップをカラカラと傾け、ソワソワとする心を落ち着かせようとする
(言葉少年の治癒能力はリカバリーガールとは少し違う。リカバリーガールの治癒は人の治癒力の活性化…だから、治癒を受けた人物は体力を消耗する
言葉少年の場合は相手の体力を減らさずに治癒出来る。むしろ、減るどころか相手の体力も回復できる。
ただし、代償として自分の体力を削る。治癒の能力を発動する場合も体力は削られる……つまりリカバリーガールより二倍か、それ以下の体力を消耗する事になる。
……今日は訓練もあったのにも関わらず治癒を発動してから家に無事に帰れたのはある意味本当に凄い事だと思うよ)
コップに入っていた水を飲みきり、洗う。
(相澤くんは凄く心配していたけど、言葉少年は確実に強くなってるよ…
……と言っても私も凄く心配だ……!!あの子は無理をし過ぎる所が日常茶飯事だし、倒れないと自分の身体を把握出来ない時もあるし…)
「ぐぅ〜……」
(『マイト』って確実に言葉少年な気がするんだけど……!!緑谷少年の事も話さなきゃだけど私はそっちの事もかなり気になっているんだぜ?!
何でなんも言ってくれないんだろう…?!気付かれたくないのかな…いやでも、普通に気になってるし良い曲だし凄く応援したい!けど、学問に影響が出るなら辞めさせなくては…!!相澤くんとマイクは知っているのかな?!さりげな〜く今度聞いてみようかな……)
そんな事をグルグルと考えながら何回も何回もコップを拭いていた事に気が付き、棚に戻した。
「…………。」
(念の為言葉少年がちゃんと寝ているかも確認しよう…)
という事で私はそろりそろりと物音を立てずに言葉少年の自室にやってきた。
スススッと静かにドアを開ける。
(わ〜た〜し〜が〜!寝ているか確認しに来た!!)
と心の中で唱えながらベッドの近くにやって来た。