第9章 今日の終わりは……
自室を飛び出し、廊下に出た所で何やらいい匂いがする事に気が付いた。スンスンッと鼻を鳴らしながらキッチンのある部屋に到着後ドアをゆっくりススッと開ける
(イレイザーヘッドだったら逃げよ……全力で……)
そんな思いを裏切るかのように聞こえてきたのはあの安心出来る声だった。
「むっ?言葉少年起きたかい?」
先程とは違い勢いよくバンッ!とドアを開け、キッチンに佇んでいる人物に抱きついた。
「ォオオオルマイトォオオオオ!!よがっだ!!イレイザーヘッドじゃなくて!!よがっだ!!」
(相澤くん…)
「ほぉ〜…俺じゃなくて良かったか……」
「ピャッ!」
背後から聞こえたあの声に一心は思わず変な声が出てしまう。
(これは……振り向いたら……ダメなやつだ……!!)
ヒシッ!とオールマイトの細い体に抱きつき顔を埋める。
「おいこらこっち見ろ言葉! お前また治癒使ったろ?!あれは負担が大きいから使うなって前々から言ってるはずだろが!明日に支障でたらどうする?!ヒーロー科舐めてんのか?除籍にすんぞ!」
クワッ!と個性を発動しながら布をふよふよと浮かす相澤。ひえぇ〜っと震えているとオールマイトに頭を優しく撫でられた。
「ま、まぁまぁ相澤くん!!この事は私に責任がある。言葉少年も緑谷少年が心配で仕方無かったんだろう…許してあげて欲しい。
それに、副作用もだいぶ少ない方だった!言葉少年も元気そうだし!……ね!!」
相澤は、はぁ…とため息を吐き個性を解除した。
「言葉、今回は許す。
明日に支障が出なければな…」クワッ!
「……はい」
そう言うと相澤は部屋を出て行こうとした。
「あれ?相澤くん、ご飯食べて行ったら?もう出来るよ?」
「いえ、結構d」
そんな相澤にドンッと抱きつく一心
「ダメ!!絶対またゼリー飲料とかだろ!!ちゃんと食べなきゃダメだ!俺の心配より自分の身体の心配をしてよ!」
「この…クッ!お前は俺を怖がったり引っ付いたりどっちなんだよ…ッ!」
一心を引き剥がそうとするもこうなった一心は梃子でも動かない。離そうと思えば思うほどギュッと抱きしめスリスリッと擦り付く始末だ。
「わかったわかった!離れろ!!」
二人がじゃれあっている間に料理は完成
「言葉少年は手を洗っておいで、相澤くんはお手伝いよろしくね」
「はーい!」「…はい」