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【短編集】切ない恋もそこまでに

第11章 #11 愛の別れ


「かなしい」

その一言で終わらせてしまうの?

そんな簡単な言葉で



もっと噛みしめて

噛んで、砕いて細かくなって

忘れて。



そう叫んだって、ぽっかり空いた穴は埋まらない



背を向ければ

「さようなら」の合図



もう言葉なんてあるわけなくて



どこかの感動的なドラマとは違くて

そこに涙も、想いもない

所詮その程度なのだと、この最後が物語っている

それを私たち2人は知っている



桃色を紫が追いかけるように染まり

影が溶けていく



────────空にあいつが降った

空に降ったんだ─────────



歩く音も溶けていって

もう何も考えたくないの



そう思うのに、回る思考は私を蝕んで



「さようなら」さえ、飲み込んだ
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