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白と黒と泡沫の少女【NO.6夢】

第2章 はじまり


「でも、その傷縫った方がいいと思う」
「そういうことじゃない!なんで未経験のやつに…」
「じゃぁどうする?」

じぃ、と紫苑とユキに見つめられて、少年が諦めたようにため息をついた。

「…あんたたち、変わってるな」
「なんで?」

おれの名前も聞かない。
言われてからそういえば…と紫苑が自己紹介を始める。

「ぼくは紫苑。こっちは妹のユキ」
「妹?それにしては全然似てないな」
「血は繋がってないんだ」

きみの方が似てるかもね、と紫苑が少年とユキを見比べる。
少年は黒色の髪に灰色の瞳、ユキは藍鼠色の髪に灰紫色の瞳。
確かにちょっと似てるな、と少年も同意した。

「それで、きみの名前は?」
「ネズミ」

なんか違うけどな…と紫苑が呟く。
ネズミを見ながら何かを考えている紫苑の服を、ユキがくいくいと引っ張った。

ハッと我に返って、紫苑がネズミの傷を縫い始めた。



「縫合終了!」
「お疲れ様、紫苑」

少しして、紫苑が縫い終わる。
ユキが紫苑の頭を軽く撫でていると、ネズミがベッドを見て気持ちよさそうだなと言葉を漏らした。

「貸してやるよ。いいよな?ユキ」
「うん」
「まってくれ。2人で寝てるのか?」

ベッドはそれなりに広い。
子供が2人、しかもユキは体が小さいので、一緒に寝たところでまだ余裕もあるくらいだ。
だが兄妹とはいえ仮にも男女。
しかも血が繋がっていないと言っていなかっただろうか?

「ユキは近くに誰かいないと眠れないんだ。母さんと寝る時もあるよ。今日はぼくと寝る日だったんだ」

誕生日だったし。
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