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白と黒と泡沫の少女【NO.6夢】

第2章 はじまり


フードマントから覗く瞳が、暗く淀んでいるのを見て、少年は一瞬身震いする。
そんな2人を見ながら、紫苑が呟いた。

「手当て…して、やるよ…」

怪我してるんだろ?と言われて少年の手が緩む。
その様子と、紫苑の言葉にユキもハサミを引いた。

と、その時、火藍の紫苑を呼ぶ声が聞こえた。
ビクリと固まる紫苑と少年。

『窓開けているでしょ?駄目よ、風邪引くわよ』

ユキも…と続いた言葉を遮って、紫苑が分かったよと返事を返し、窓を閉めた。
2人とも、夕食には降りてくるのよという火藍の言葉に聞いて、通話を切る。

ホッと息をついて、少年は紫苑の首から手を離し、その場に座り込んだ。
座り込んだ少年にフードマントを取ったユキが駆け寄ると、少年が少し警戒心をあらわにする。
何せ先程ハサミを向けられていたのだから当たり前だろう。

だが本人は傷の心配をしているだけだった。

「大丈夫?」
「大丈夫じゃない」

2人がそんな会話をしていると紫苑が救急箱を取り出してきた。

「この傷…銃創!?」
「うん。銃弾がかすった」

かすった?もっと酷くない?とユキが首を傾げたが、紫苑はこのNO.6内で銃撃があった事に驚いていた。

「人を狩るやつと、人に狩られるやつがいるってことさ」
「何言ってるのか全然わかんない」

だろうね、分からなくていいんじゃない。
そう言いながら、少年はちらりとユキの方を見た。
紫苑と全く真逆の反応のユキ。
目が合ったユキが、なあに?と首を傾げる。

その横で紫苑が持っているものを見て少年がギョッとした。

「…何をする気だよ?」
「局部麻酔」
「麻酔なんか打ってどうする気だ!?」
「縫う!」

目を輝かせながら平然の言ってのけた紫苑に、少年が慌てたように反論した。
経験は無いと言う紫苑から視線をずらし、ユキに助けを求める。
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