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白と黒と泡沫の少女【NO.6夢】

第3章 西ブロック


あぁ、なるほどな…。
飛び込んでからすぐ、ネズミはユキが言っていた事の意味を理解した。
ユキの髪の色が水色に変わっている。
ゴーグルをつけているというのに目を瞑っているユキの腕を、軽くトントンと叩いた。
うっすら目を開けたユキの目はゴーグル越しだが色が変わっている事が分かる。
目を瞑るなとジェスチャーし、ネズミはユキを支えながら奥へと泳ぎ出した。

少ししてからバルブがついている扉が見えて来る。
紫苑と目配せをし、ユキの手を服を掴むよう誘導した後、ネズミと紫苑がバルブへと近づいた。
グッと力を入れて回す。
なかなかの力作業に少し時間がかかったがなんとか回すことが出来て一気に扉を開いた。

ザバァァァと勢いよく流れ出し、ネズミはユキを引き寄せて抱きしめる。
そのまま3人は床への叩きつけられた。

「ゴホッ、ゲホッ…」
「ケホッ…ハァ、ハァッ…」
「2人とも無事か?」

なんとか、と紫苑とユキサが返事をする。

「ここは…?」
「下水道さ。20世紀の遺物…いや、まだ十分活用されているな。汚水が限界量を超えた時、さっきのドアを全開してこの下水道を使って流す」

どこへ?と紫苑が首を傾げると、ネズミの瞳が暗くなった。

「西ブロック。都市の範囲に入ってないのさ。ゴミ捨て場ぐらいにしか考えてないんだ、あいつは」

あいつ?と再び紫苑が首を傾げたが、ネズミは答えなかった。
行くぞ、と立ち上がったネズミを、ユキが不安そうにしながらじぃ、と見つめている。
その視線に気づいたネズミが、未だ座り込んでるユキの手を引いて起こし、今度はネズミがユキの目の前で膝をついた。

「とても綺麗な髪と目だ。その美しさに見惚れてしまったよ」
「ネズミ、なんか王子様みたい」

髪を一房取ってキスをするネズミに、ユキが言った。
いまいち反応が薄いなとネズミが思ったが、ユキが小さくありがとうと言う。
と、ユキが紫苑を見ると、紫苑が首を押さえて青ざめていた。

「紫苑?」
「…なんでもない」

ユキが不思議そうに首を傾げながら、3人は下水道を出た。
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