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白と黒と泡沫の少女【NO.6夢】

第3章 西ブロック


「ここから歩く」

ネズミの言葉に紫苑とユキもトラックから降りた。
トラックは荷台にイッポを乗せたまま、自動操縦で帰っていく。

「なるほど。清掃用ロボットなら、ゴミを捨てに来て戻ってもおかしくない」

ここまで計算してたのかと問う紫苑に、また質問かと面倒くさそうに返事をするネズミ。

その瞬間、背後で爆発音が響いた。

「トラックが…!」
「爆破命令が各ゲートに出されたな、危なかった」
「もう少し遅かったら私たちも爆散してたね」

また平然の言ってのけるユキの手を引っ張りながら、ネズミが走る。

「おれたちがここに逃げ込んだのもすぐにばれる、急げ!」

いいか、おれから離れるなよとネズミは2人に言った。

カンカンと階段を降りる。
下に水が流れているのを見て、ユキがぴたりと足を止めた。

「ユキ?」
「ネズミ…もしかして、ここ潜るのか?」
「あぁ。スキューバダイビングの趣味はあるか?」

ポイッと紫苑へ水中ゴーグルを投げる。
ユキにも差し出したが、なかなか受け取らない。

「おい、さっきからどうした…」
「ネズミ、私泳げないの」
「あー、なるほど」
「それに…」

ちらりと紫苑を見るユキ。
紫苑は少し考えたような仕草をした後、こくりと頷いた。

「ネズミ、何があっても私を嫌いにならないでほしい」
「は?どういう事?カナヅチだからって嫌ったりしないけど」

おれが引っ張っていくし、と言ったネズミに、違うのと首を振った。
外が少し騒がしくなって来たのが聞こえて、とにかく、とネズミがユキにゴーグルを被せた。

「おれはユキを嫌ったりなんかしない。だからおれにちゃんとついてこい」
「…うん」
「ぼくもちゃんとユキを引っ張るからね」

ありがとうとユキは言った。
ネズミの肩から、子鼠が走り、水の中へ入る。

「あいつが水先案内人だ」

行くぞ!というネズミの声と共に、3人は水の中へと飛び込んだ。
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