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白と黒と泡沫の少女【NO.6夢】

第3章 西ブロック


『何をしている!?』
「あばよおっさん。ハイテクの護送車1台損したな」

ボンッと大きな音がし、ネズミが外へ飛び出せ!と叫ぶ。
紫苑が咄嗟に身を投げだし、ネズミもユキを抱えて転がった。

瞬間、大きな爆発音と共に車から火の手が上がる。
見上げたネズミが、上出来、と呟いた。

「2人とも怪我はしてないな?」
「大丈夫、でもこれ…」

手錠がついたままの2人。
あ、とユキが握っていた手を開いた。
そこには2つの鍵。

「あんた…まさかこれ」
「局員のポケットからくすねた」
「ユキ、凄い!」

先程手を伸ばした時に何故握っているのかと思ったら、そういう事だったか。
鍵を持って、ネズミが2人の手錠を外す。

いや、凄いなんてもんじゃねぇだろ、とネズミは思った。
そもそもネズミが動いた直前から、ユキも勝手に動いていたのだ。
銃を突きつけられて危ないところではあったが、ちゃっかり鍵もあの短時間で取っている事から、最初から逃亡を狙っていたのかもしれない。

「外れた。さ、逃げるぞ」

走れるか?とネズミに問われて、もちろんと紫苑とユキが言った。



1つの建物の木の影で、ネズミがIDカードを捨てろと言った。

IDカードには個人情報の他に、居場所を探知できるシステムも組み込まれている。
これがあればどこへ行っても一生追われる身になるだろう。

ネズミの言葉にユキがIDカードをその場に捨てた。

「…相変わらずだな」
「何が?」

いや何も、と言ってネズミが紫苑を見る。
まだ戸惑っているような素振りの紫苑へ、もう一度、捨てろとネズミが言った。
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