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白と黒と泡沫の少女【NO.6夢】

第3章 西ブロック


それから程なくして、車が突然止まる。
前方に清掃ロボットがいると言う言葉を聞き、ユキも前の方を見た。

「お前たち、容疑者の傍を離れるな」

羅史が車を降りて清掃ロボット、サンポへと近づく。
その瞬間、サンポが腕を伸ばして羅史の体へと絡みついた。

慌てたように局員が降りていこうとする。

「(やるなら今しかない)」

手錠をつけたまま、ユキが出ていこうとした隣の局員の足を引っ掛ける。
反対側にいた局員の顔には頭突きをかました。

「貴様っ…!!」

局員の1人がユキへ銃を向けた瞬間、その局員は何も出来ずに吹っ飛ぶ。
ふわりと車の上を飛んだ人影の腰に、青いビーズのブレスレットが見えた。
銃声と鼠の鳴き声が聞こえ、悲鳴と共に局員が外で倒れこんだ。

ひいっ…と短い悲鳴をあげた運転手を無理矢理おろし、急いで運転席へ座ったのは…。

「「ネズミ!!」」
「挨拶はあとだ!!」

ギュルギュルと方向転換し、車がものすごいスピードで走り出す。

あーだこーだと質問攻めをする紫苑に、うるさいと一喝してネズミが布を投げた。

「これ…、超繊維布じゃないか、なんでこんなもの」
「紫苑ほんとうるさい!もう少しユキを見習ったらどうだ」

ユキは後部座席でじっとしている。
合図したらユキとそれを被って飛び出せ。
きみは?という紫苑の問いかけに、こういうこと慣れてるんだよ、とネズミがニヤリと笑った。

しかしネズミがアクセルを踏んだ途端、急ブレーキがかかる。

「ッ…ユキ、大丈夫?」
「痛い…」
「この車…遠隔操作されてる」

『クックック、治安局をなめてもらっては困るね』

こちらに戻って、ゆっくり話をうかがおうか。
その言葉にネズミはそんな暇はないと返しながらゴソゴソと作業をしている。

「紫苑、お前はそのまま伏せてろ!ユキはこっちに来い!」

ネズミに呼ばれて一番後ろにいるユキが握ったままの手を伸ばすと、グイッと力強く引かれる。
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