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白と黒と泡沫の少女【NO.6夢】

第3章 西ブロック


バッと管理事務所に目を向ける。
駆け出そうとして、ユキは足を止めた。
治安局員に、銃を向けられている。

「なぜ…」
「黙ってついてきてもらおう。…彼も一緒だ」
「ユキ…」

そこには戸惑った表情をしている紫苑の姿があった。



紫苑とユキは二列の後部座席の中央にそれぞれ座らされ、左右を局員に挟まれる形で車に乗せられた。

走り出した車は治安局に向かうかと思いきや、違う方向へ走り出す。

「治安局に行くんじゃないですか!?」
「きみに質問する権利はない。きみは今度の事件の最重要容疑者なんだ」

え?と紫苑が言うと、ある音声が再生される。

『市当局による情報操作が行われているんでしょうか?』

聞いた紫苑が、やめてくださいと小さく呟いて俯いた。
会話を聞きながら、紫苑がどうやら森林公園での昨日の事件と今日起こったであろう事件の容疑者に挙げられているのだとユキは理解する。

「きみは騒ぎを起こしたかったんじゃないのかい?」

あるいはストレス発散のため…。
次々と出てくる捏造された物語に、とうとうユキが耐えきれなくなった。

「なるほど。そうやって市民を騙してひっそりと消していくのね」
「なに?」

どういう事だと聞いてくる羅史にユキが何か言おうとしたが、咄嗟に紫苑が制した。
しかし羅史が何かを思い出したかのようにユキに歪んだ笑顔を見せた。

「そうかそうか。確かきみは…」

ギリ、とユキが羅史を睨みつける。
そう怖い顔をしないでくれと、羅史が部下たちに、紫苑とユキに手錠をつけるように命じた。

手錠は、西ブロックの矯正施設行き。

「母はどうなるんですか」
「別に何も変わりはしないよ」

もう二度と会えないだろうから、ちゃんと見ておきなさい。
ニヤリと羅史が笑った。
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