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オニオンスープ

第11章 10杯目


 「グリムはキス枠ではなくない?」
 「なに?」
 「家族(ペット)枠っていうか、猫とかと戯れるのを人はキスと呼ばない気がする?」
 「ふーん…」

 意味深に相槌を打たれる。

 …そっか、レオナ先輩も獣人なわけで。
 先祖帰りというか、獣の戯れと考えればキスではなくない?

 ファーストキスカウントしなくて良くない?

 「グリム役得じゃん」
 「どうして?」
 「わかんねぇなら、いい。つーか、ほら、早く終わらせろって」
 「うん」
 「ところで、誰だったの?」
 「蒸し返さなくていいってば」
 「なんだよ、気になるだろ?」
 「じゃあ、デュース」
 「いつしたんだよ」
 「嘘だけど」

 エースを嗜めながら、あのキスはキスとカウントしないことに決めて、勉強の用意をカバンにしまう。

 「だろうな。それ本気だったら、ユニーク魔法ぶちかますとこだったわ」
 「エース使えるの?」
 「まだ使えねぇけど!」
 「エースの魔法は、優しい魔法な気がする」
 「なんで?」
 「あれは?御客様相談室魔法!!」
 「クレーム処理じゃねぇか」
 「じゃあ、カスタマーセンター魔法!」
 「だからクレーム処理じゃねぇか!
 言い方変えて、カタカナ並べればいいって問題でもないのね?」
 「でも、NRCの寮名カタカナばっかじゃん、読みにくい」
 「ったく、落ち込んでると思えば、すぐふざけるじゃねぇか」
 「エースに言われたくないんですけど。
 てか、エース部活大丈夫なの?まだ行かなくて」
 「今日は休み。お前こそ、軽音部行かなくていーの?」
 「んー…」

 放課後でザワザワしていた教室も、いつの間にかエースと2人。

 「選択授業、デュースも一緒だったら良かったのにね」
 「綺麗に話逸らしたと思ってるけど、だいぶエラーだぞ?」
 「グリムはサボりだし。
 どこかのグータラおサボりねぼすけ王子と一緒じゃん」
 「誰がグータラおサボりねぼすけ王子だって?」
 「レオナせ」

 エースがそそくさと帰る支度をするの見て、ぎぎっと振り返る。

 「レオナ先輩じゃないですか。偶然ですね、今エースと先輩の話してたんですよ」
 「な、ちょ、監督生ちゃん?オレを巻き込むのは良くないんじゃねぇ?」
 「へぇ。草食動物どもが、揃って俺の話を…ふーん」
 「先輩が教室来るの珍しいですね」
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