第4章 3杯目
「どうしたんだゾ?
シルバーに何か、嫌なことされたのか?」
と言う言葉に、過剰に反応してしまう。
「は?え?シルバー先輩?!」
うなづいたグリムに、動揺してしまう。
抱き上げてもらった時の
胸の温かさとか、
腕の感触とか、
顔の高さとか、
声のトーンとか、
思い出した瞬間、ぶぁああっと熱が上がってくる感覚がする。
「な!なんもないから!なんも!!」
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シルバー先輩への熱が、やっと引いてきた頃。
動揺する私に構いもせず、ご飯をねだりお風呂に入り、挙句先に寝てしまったグリム。
ねぇねぇ、グリム。
勘違いしたとはいえ、あんなにグリムを探してあげたって言うのに、手当て手伝ってくれてもよくないかい?
ギシギシと軋むベットの上で、痛む足にテーピングを施す。
…むこうの世界で、部活しててよかった。
テーピングの基礎知識くらいならある。
と、
作業をしていると携帯が、着信を知らせる。
「はい、もしもし?」
『もしもし?じゃ、ねーよ!!監督生無事か!?』
忘れた頃の、マブからの電話。
「うん」
『ったく、心配した』
電話越しのエースの声は、少しだけ低く感じる。
憎まれ口を叩いて意地悪なくせに、遅れてもちゃんとこうして気にかけてくれる優しい友達。
「帰れなかったら、ケイト先輩の守護ーストになろうって思ってた」
『なんだよ、それ。まぁ、お前らしいけど』
「心配してくれて、ありがとう」
『そりゃ…あんな連絡寄越されたら?一応?な。うん。
…気をつけろよな。
隣でうるさいから、デュースにも代わるな』
と、肩で押さえてた携帯を持ち直し、それから1時間くらい話しをした後に、また明日と電話をきった。
デュースとばっかりあんなに話したから、(しかもエースの携帯で)明日絶対、何か言われそう。
…仲間外れにすると、鼻曲げちゃうから。
明日のためにも早く寝ないと…
「ふぁあっ」
グリムの横に寄り添って目を瞑る。
その温もりにひどく安心して、微睡の淵に落ちた。