第4章 社会人場地さん×長編年上ヒロイン
「ちゃんが男運ないのは知ってっけどよ」
「それ、特大ブーメランだからね」
「だーかーらー! 俺が言いてェのはそこじゃなくて! ……昔の男に言い寄られたりしないかって心配してンだよ」
「わお」
「……ンだよ」
「素直で可愛いー。素直な子は好きよー?」
「うっせ」
おーよしよしと大型犬を撫でるように圭介の頭をわしゃわしゃと雑に撫でれば、もっとやれとでも言うようにぐりぐりと頭を私の肩へと擦り寄せてきた。見た目とのギャップもあいまって、より可愛く見える。うん、可愛い。
「私のことそーんなに好きなのね」
「まァな」
「ふふ、嬉しいなあ」
「それに俺が見とかないとまた変な男にひっかかるし」
「一言余計!」
「ハハッ! 二次会は行く? 帰り迎えに行くワ」
「えっ、いいの?」
「おう」
事も無げに聞いてくれているけど、私からするととっても嬉しい提案で……友だちが二次会に行くのなら、と思っていたけれど行く必要なくなったかも。
もともと会いたい友だちには日常的に会っているし、改めて会いたい人がいるのかと言われれば答えはノーだし。せっかくお迎えに来てくれると言ってくれた恋人がいるのだから、彼と一緒に過ごせる時間が同窓会後にできた、ということの方が私としては喜ばしいことだ。
「じゃあ一次会で帰る。友だちにも言っとくね」
「その後、俺ン家泊まってかね?」
「そうする! 介抱してね!」
「介抱させるまで飲んでくんな」
「はーい、ママー」
「誰がママだ、誰が」
ビシッ! とデコピンにしては痛々しい音を立ててながら私のおでこを攻撃した圭介に「痛い! 赤くなる!」と文句を言えば、しばし何かを考えるような表情をしたあと、少し目を見開いてから私の鎖骨あたりをしげしげと眺め始めた。
「どうしたの?」
「印、つけときゃいいんだと思ってよ」
「印? それって──ッい!」
嫌な予感がして少し後ずさるも、二人がけのソファに逃げ場などあるはずもなく……私の鎖骨から胸にかけてキツくキツく──もはや痛々しく見えるほど、赤い痕を残しまくった。